小澤智子

おざわ・ともこ
OZAWA, Tomoko

アメリカ研究、移民研究、英語の教育

American Studies

准教授

Associate Professor

2007年4月着任
1977年埼玉県生まれ
津田塾大学大学院 博士号取得

研究テーマ:

とくに20世紀のアメリカや日本/アジアにおける移動者・移住者の歴史的な経験について調査している。

OZAWA, Tomoko

Associate Professor


Tomoko Ozawa’s research interests include the contemporary history of migrants mainly to and from Japan, the United States and other regions, and various theoretical concepts relating to migration studies and ethnic studies. Her PhD thesis entitled “Besides the Letters of Transit: The Cultural Baggage and Identities of Transpacific Nikkei" (2010) focuses on the unique historical experiences of Japanese Americans (Nikkei) who came to Japan prior to the Second World War to study Japanese and Japanese culture. She currently teaches English language classes (speaking, academic writing and research skills) and enjoys supporting students learning new languages at Musashino Art University.

論文

  • 「アメリカ合衆国における移民・マイノリティに関する研究の動向」
    『武蔵野美術大学研究紀要』第43号(2013年)
  • 博士論文 “Besides the Letters of Transit: The Cultural Baggage and Identities of Transpacific Nikkei”
    「旅券のほかに——太平洋を横断した日系人の文化的な手荷物とアイデンティティ」、津田塾大学(2010年3月)
  • “Nisei Interpreters/Translators of the U.S. Military”
    「米軍の二世通訳・翻訳者」、JICA横浜海外移住資料館『研究紀要』、第3号(2008年)、pp.37-50

学会・口頭発表など

  • 「MIS(米軍語学部隊)に加わった二世と彼らの日本『進駐』」
    2009年度アメリカ学会年次大会、津田塾大学、2009年6月11日
  • 「日系アメリカ人の日本とのつながりについて」
    日本移民学会第18回年次大会ラウンドテーブル、東京学芸大学、2008年6月29日

研究について

ひとは、どのような事情や理由で「移動」・「移住」するのか。ひとの移動・移住は、当人、周囲の人びとや社会にどのような影響を及ぼすのだろうか。これらの疑問に対する調査と分析に加え、人びとの移動・移住に関する理論に光を当てる「移民研究」や「地域研究」にわたしは挑戦中である。ひとの移動・移住は、個人的な動機のみならず、時代背景、政治・経済情勢、地域性などのさまざまな要因を考慮に入れて総合的に分析する必要があろう。実際、近年、移動・移住(者)についての研究は、歴史学、社会学、経済学、政治学、文学、教育学、ジェンダー研究など多様な分野に渡り発展してきたのである。人びとの移動・移住に関する研究は、非常におもしろく、ドラマチックな物語がとくに個人のライフ・ヒストリーから浮かび上がることもある。
このテーマに関心を抱いたきっかけには、わたし自身がオーストラリアとアメリカ合衆国と日本で育ったという個人的な体験が大きく影響しているかもしれない。わたしは、国内外での生活を通じて文化や言語の多様性を実感し、いま研究テーマとしてひとの移動・移住に関心を寄せている。とくに国境(もしくはそのほかの「境界線」)を越えた移動者・移住者がどのようなアイデンティティや所属意識を持っているのか、そして移動者・移住者をとりまくコミュニティにみられる現象について一次史料(歴史的な記録やインタビューなど)を用いて調査している。


"A Historiography of Research on Immigrants and Minorities in the U.S."

本論文は、アメリカ合衆国へ渡った移民そしてマイノリティ(少数派)に関する研究のなかで論じられてきた人種・エスニシティの概念について考察し、歴史的に主要な研究テーマである移民・マイノリティの排斥、同化、他者化、また移民・マイノリティの主体的な対応に注目する。移民・マイノリティの主体的な対応とは、具体的には移民・マイノリティのトランスナショナルな言動と捉え、トランスナショナリズムをキーワードとする研究の動向を紹介する。本論文は、ここ数十年に渡り学術的にはほとんど議論されてこなかった同化論を再考し、最近の理論に触れながら、今後の移民研究・エスニック研究の方向性を模索する。そのなかで、支配層の覇権と抑圧への対抗の知的根拠として、差別のメカニズムを解き明かしてゆくことが重要だと述べる。また、個人を集団化する際に非可視的な差異に意味を持たせることを含め、差異と差別の関係性について理解をより深めることが必要だと強調する。


"Besides the Letters of Transit: The Cultural Baggage and Identities of Transpacific Nikkei"

本論文では、20世紀前半に太平洋を横断した日系人(日本人移民である「一世」と、彼らの子どもである「二世」を含む)の言動や、彼(女)らをめぐる議論に焦点を当て、トランスナショナルな枠組みを用いて分析する。つまり、この論文は、複雑かつ多面的なアイデンティティを持つ個人が、いかに教育や仕事などの機会の選択肢を拡大したのかを考察する歴史研究の成果の一部である。
具体的には、「写真花嫁」として渡米する日本人女性に対して日本YWCAが開講した「渡航婦人講習」(1916-1920)、そして第二次世界大戦前に東京の大学に留学していたアメリカ生まれの二世のアイデンティティに注目する。本論文では、日米の歴史的な文脈において太平洋を行き来した日系人の言動や多面的なアイデンティティを解明することにより、これまで支配的であった議論――人びとを一枚岩的に捉える傾向や一国史観に基づいた議論――を再考している。


"Nisei Interpreters/Translators of the U.S. Military"

本論文では、第二次世界大戦中および占領下の日本を舞台に、日本文化・日本語に関する知識を有する日系アメリカ人二世の日本での活動と彼(女)らのアイデンティティを考察する。まず、彼(女)らが活躍したMIS(米国軍事情報部)に適切な人材を提供する目的を持ったMISLS(軍事情報部語学学校)の設立の経緯を述べる。二世はアメリカ市民権を持っていたにもかかわらず、悪名高い「忠誠の問題」や日系であるがためにかけられた疑いに悩まされていたことに触れる。さらに、この論文では占領下日本でアメリカ民間人としてアメリカ軍の通訳・検閲者として働いていた二世女性のインタビュー内容を紹介する。MISや占領軍にかかわった二世の多くが多面的なアイデンティティを維持し、語学能力を活かせる仕事の機会を最大限に活用した様子を検証する研究論文である。


担当授業について

授業では、コミュニケーション能力をバランスよく高め、語学に親しむことを通じてさまざまな文化や考え方についての理解を深められるような課題を設定している。学生には幅広い知識や経験を得て自立した批判力を養ってもらいたい、とわたしは考えている。武蔵野美術大学で学んだ学生が世界を視野に入れてますます自由に活躍できるよう、英語教育の可能性を追求していきたい。
とくに英作文の授業では、書く、書いた文章を見直す、修正した文章を清書するという地道な練習を繰り返す。語彙を増やし、適切な表現を使いこなすためには、実際に書く機会を増やすことが効率的であろう。最初は複数の短い文章をつなげる練習を行い、情報量の多い豊かな文章を書けるようになることを目指している。中級の英作文の授業では、上級レベルの論文執筆(英語)の前段階として、完成度の高い「パラグラフ」(一つの段落)が容易に書けるようになることを目標としている。加え、学生はアカデミックな英作文のみならず、手紙、宣伝、詩などを書く練習を重ね、適切な表現の使い分け方法も学ぶ。
英語講読の授業では、ある程度のまとまった文章を正確に読み解くことを目標としている。学生は、簡単な文章から始め、少しずつ難易度を上げ、英文を理解する楽しさを味わう。授業では、短編を中心としたミステリーなどのフィクション、文化や社会問題を扱った新聞・雑誌の記事、インタビュー記事、演説、個人的なメールや手紙など幅広いジャンルの読み物を扱う。
英会話の授業では、学生がさらに自信を持って英語を使えるようになることを目標としている。まず、特定の場面を設定したうえで、新しい語彙が定着するように学生は英語で話す課題を繰り返す。そして、学生は自分の作品や考え方を説明するときに役立つ表現をさらに身につけることを目指す。学生が積極的に参加して、気軽に発言できる授業環境となるよう心がけている。
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