小林昭世

こばやし・あきよ
KOBAYASHI, Akiyo

デザイン

Design Theory, Design Methodology

教授

Professor

1992年4月着任
1955年東京都生まれ
武蔵野美術大学大学院
造形研究科(修士課程)修了

研究テーマ:

デザイン理論・デザイン方法論とその歴史。

著書(本のアーティクル)・訳書:『記号理論の基礎』'88年(共訳 '05年再版)、『デザイン教育大事典』'89年(共著)、『デザイン/造型のためのデッサン』'91年(共著)、『デジタル・イメージ』'96年(共著)、『マルチメディア標準テキストブック・コミュニケーションデザイン編』'97年(共著)、『マルチメディア標準テキストブック・入門編』'99年(共著)、『デジタル・イメージ・クリエーション』'00年(共著)、『造形学研究』'03年(共著)など。
論文:「ポスターによる表現行為」『記号学研究2』'82年 pp.117-133(共著)、「デザインの生産過程―受容過程における記号論のパースペクティブ」『理想』'83年2月号 pp.76-85、「コンピュータアートにおける表現と意味」『理想』'84年10月号(特集:人工知能 pp.188-196)、「色彩計画における〈色彩〉記号としての色彩/色彩としての記号」『病院設備』'86年1月号 pp.47-50、「記号としての装飾―イスラム装飾とパースの記号論」『記号学研究』13号 '93年 pp.173-188、「広告におけるコミュニケーション理解」『武蔵野美術』91号 '94年 pp.30-35、「グラフィックデザインの社会的次元」『デザイン学研究』特集号「グラフィックデザインの広がり」'98年 pp.30-35、「バウハウスとウルム―近代デザイン形成の理念」『武蔵野美術』111号 '99年 pp.40-47、「Semantic Descriptive Model for Positioning an Artifact in Use Context: a case study with mobile phones」2001, 5th Asia Design Conference -International Symposium pp.1-12、「ユーザの知識表現のための比喩的枠組み:日本の携帯電話を事例として」『デザイン学研究』特集号「デザインと記号論」'02年 pp.53-63、「デザインの形成と記号論的機構」『Vision』vol.15-3 '03年 pp.151-159など。
共同研究・委託研究:「障害者用の移動機器」'90年 デザイン(代表者:清水敏成)、「色彩認知と色彩感情等、色彩に対する官能値の国際的データベースの構築と、それを製品および生活環境に反映させるマルチメディアシステムの研究開発」'95-'97年 NEDO(代表:千々岩英彰)、「shelte」'97年 共同制作 IFI(International Federation of Interior Architects/designers)18th congress in Ireland、「Development of a multi-aspect design information framework」'99-'00年 イリノイ工科大学共同研究(代表:佐藤啓一)、「記号学研究」'00-'02年 装丁、「本の構成者エル・リシツキー研究」'02-'03年 武蔵野美術大学共同研究(代表:寺山祐策)、「両次大戦間における造形表現の古典主義への回帰傾向に関する研究」'02-'05年 科学研究費(代表者:岡村多佳夫)など。

KOBAYASHI, Akiyo

Professor


I am engaged in theoretical research relating to design and projects applying the results of that research. My special fields are semiotics, especially the application of narratology(theory of stories) and ludology(theory of game) to design; research on thought relating to shapes and colors; and research on European design history relating to the origins of the concept of design. At present I am conducting joint research on visualization centering on diagrams. I am also participating in a joint project on time-axis design to integrate multiplehuman interaction in place and time and to design the fluctuations of user’s experience.

デザイン研究とデザイン実務のための方法論としての記号論

記号論は、デザイン研究の方法論として、(デザインの)知識表現や知識産出、倫理や価値を扱うばかりでなく、デザインの実践のためにも、シナリオ/ナラティブ、デザイン言語などの方法を提供する。

『意味論的転回―デザインの新しい基礎理論』
●『意味論的転回―デザインの新しい基礎理論』(エスアイビー・アクセス、2009年、396頁、共訳、Klaus Krippendorff, Semantic Turn-new foundation for design)は、「意味」をキーワードとして、デザインのための新しい科学を構想した本。デザインは基本的に刷新と変革をともない、将来に対して創造的で挑戦的な性格をもつので、単なる問題解決行動や因果関係で説明できない。その研究の特徴は、「デザイン学」であるよりは、むしろ「デザインのための(for)科学」である。デザインは人工物に意味を与えることに関わるが、この意味は、人工物に関わる立場の異なる人により、別々の意味が解釈され、また使用、生産・流通・廃棄という人工物の生(ライフサイクル)、エコロジー等の異なる観点から異なる意味が与えられることになる。本書はデザインのこの特性を捉えるための(for)諸理論、諸科学が批判的に考察されている。
●「未来モビリティ創生プロジェクト」(マツダ自動車共同研究、2008-2009年、研究代表者:松岡由幸)は、上記のデザイン研究の問題と関連し、私の分担では、生活のための価値構造を価値論(axiology)から再検討する機会になった。
●「The Shaker’s Linguistic Preference of Simplification Revealed through Their Rhetorical Tendency in Text」(共著、石川義宗、2005年、Proceedings of International Design Congress-IASDR2005、CD、pp.1-10)。「簡素性」は現代デザインの主要な概念の一つである。シェーカー教徒の家具デザインに特徴的な「簡素」な造形を、「簡素」な生活という倫理的な生活規範との関連で読み解いた研究。
●「A Socio-cultural approach of mobility design for the local community」(共著、Alvarez、 Jaime、2008年、『デザイン学研究』56〔2009年〕、日本デザイン学会)使用者や使用者のコミュニティが知識や文化を継承したり、あらたにそれらを生み出す手段としてモビリティデザイン(バス)の可能性を検討した。上記の二つの論文は、大学院生との共同研究。
●「デザインの動向を読み解くために」(概論、2006年、平凡社『デジタル月刊百科』11/12月号)。デザインの全体像を紹介するために、最近のデザイン・研究の動向について、環境論・生命論、ユニバーサルデザイン、インタフェイス・デザイン、デザイン史を軸としてとりあげ、その研究やデザイン事例を解説した。
●『プロダクトデザイン 商品開発に関わるすべての人へ』ワークスコーポレーション、2009年(共著)
●『現代デザイン事典〈2010年版〉』〜同〈2013年版〉平凡社、2010-13年(共著)
●「心理的時間軸のデザイン:シナリオの時間とゲームの時間」2011年(単著)
●「物語とゲームによる経験のタイムアクシス・デザイン」2012年(単著)


デザイン実践、教育、研究を繋げる「デザイン形態論」

デザインの実践、教育、研究を繋いでいくために、過去から現在までの形態と色彩を代表とする造形の考え方と実験を掘り起こしていくデザインの「形態論(morphology)」がある。

●「地域の伝統色の研究:地域の固有色と伝統色に関する色の分散と焦点色」(2007-2009年、武蔵野美術大学共同研究、代表:小林昭世)は、自然の素材による色に比べ、人工的な素材の色が均質に感じられるという問題から出発し、色の材料や技法についての日本画や油絵で蓄積した知見、アイデアや処理を環境色彩デザインに組み込むことを意図した研究プロジェクトである。
以下のテキストでは、主に、色彩と形態、一部はインタラクションデザインを含むが、デザインの形態論に関する章や節を分担した。
●『graphic design 視覚伝達デザイン基礎』新島実監修、武蔵野美術大学出版局、2004年(共著)
●『ビジュアル情報表現』源田悦夫他編、(財)画像情報教育振興協会、2004年(共著)
●『入門CGデザイン』木村卓他編、(財)画像情報教育振興協会、2006年(共著)
●『入門Webデザイン』原田泰他編、(財)画像情報教育振興協会、2006年(共著)
●『かたち・機能のデザイン事典』丸善、2011年(共著)
●「赤の表現と概念:中国の字典における赤を中心に」共著、2010年
●「台湾の日月潭の地域イメージ形成:シンボルマークデザインとその考え」2010年(共著)
●「コミュニケーションデザインによる地域イメージ形成」2012年(共著)
●「台南市五条の環境色彩調査」2011年(共著)
●“Science of Design: challenging redesign design” 2011年(単著)
●「言語行為に基づくデザイン-さいたま緑の森博物館のサインデザイン-」2012年(共著)
●「基礎デザイン学科創設とその時代:向井周太郎先生の考えをもとに」2011年(単著)
●「文様」についての連載、「文様1:文字装飾」「文様2:生命の木」「文様3:ペイズリー」「文様4:ミクロコスモス」「文様5:烏」「文様6:ムカルナス」「文様7:唐草」「文様8:雲と鳳凰」「文様9:家紋」「文様10:アラベスク」「文様11:うずまき」「文様12:花柄」2011-12年
●「デザインと色彩」共著、共編、2012年


その他の活動

上記の研究テーマとの関連で、以下の(デザインを含む)委託研究、講演等をおこなった。

●「オットー・ノイラート・アイソタイプ研究」武蔵野美術大学共同研究、代表:寺山祐策、2006年4月-2008年3月。
●「Visual Metaphor」講演、symposium "Cultural Creativity"(文化創意)、Oriental Institute of Technology, Taiwan、2006年10月。
●「近代デザイン史とデザイニング教育」、「かたちの創成とデザイニング教育」講演、慶應義塾大学大学院+日本デザイン学会、2007年3月。
●「21世紀デザイン教育の再考」シンポジウム講演、日本デザイン学会54回大会、2007年6月。
●「国際シンポジウム 大学における美術・デザインの研究助成」討議、筑波大学、2007年10月。
●「Metaphor in design」、「Narrative based design」講演、National Yunlin University of Science and Technology, Taiwan、2008年3月。
●「年中みかんプロジェクト」三重県御浜町の年中みかんプロジェクトのための、みかんダイアグラムのデザインとそれを用いたポスター、パンフレット等の制作、2007年12月-2008年3月。
●「環境色彩調査に基づく計画」講演、第9回国際色彩学会研究会における基調講演、台北、2008年11月。
●「基礎デザイン学の提唱と実践」講演、九州大学、2009年
●「Traditional color research for color planning」講演、雲林科技大(台湾)、2011年
●「デザインの意味と価値の次元」講演、名古屋大学大学、2010年
●「Diagram as edition of data: for envisioning, over-viewing and understanding」講演、雲林科技大学と台湾基礎造形学会、2010年
●「デザイン:美術の諸視点」日本認知学会シンポジウム「デザインで社会進化をもたらす学のあり方を問う」2012年
●「スタイル(様式)再考」基礎デザイン学会研究会「デザインの生知」2012年
●「色彩の記号論的アプローチ」カラービジネスネットワーク、2012年


主な担当授業とその概要

「色彩論演習1」(1年)では、色彩の体系的な特性(混色、顕色)等とともに色彩認知の人間的な特徴に基礎をおく「現象性」をテーマとしている。
「記号論1A」(2年)では、デザインの行為やその成果物を記号現象としてみるために、視覚コミュニケーションと認知、文化的なコードや学習などとデザイン行為との関連、ならびにデザイン現象の射程を拡張するために、ディスプレイ等の身体行為、ものの体系、触覚や嗅覚によるコミュニケーションなどの例までをとりあげて検討している。
「デザイン論3B」では、現代デザインのなかで提起されてきた諸問題をテーマとして批判している。
「デザイン演習1a」(デザインナレッジ)では、人工物の使用についての観察を行い鑑賞者や使用者によって産み出される知識をデザインにフィードバックすることを目指している。
4年生と、大学院のゼミでは、研究テーマと担当している授業内容を基にしながら、他方で学生自身の抱える問題を調整しながらテーマを設定している。 ページの最初へ