陣内利博

じんのうち・としひろ
JINNOUCHI, Toshihiro

視覚伝達デザイン、環境デザイン、メディア環境論

Visual Communication Design, Community Design, Study of Media for Audiovisual Education

教授

Professor

1997年4月着任
1955年福岡県生まれ
武蔵野美術大学大学院修了

研究テーマ:

「みること」「みせること」の歴史的・科学的な検証を通した、映像・展示・データベース・検索システム・ネットワーク構築などこれからのヴィジュアルコミュニケーションのあり方の研究。

'80年代はインターネットの前進であるビデオテックスの開発と普及に関わる。'90年代は大型映像機の設置や番組制作に関わり、主に'92年セビリア万国博覧会(スペイン)日本館の展示企画、新千歳空港館内CATVシステム企画などを行う。現在はアニメーションやドキュメンタリーなどの映像制作、互いに知恵を共有する場としての展示計画、フェスティバルの企画運営を通して人々との関係づくりを行っている。
グループ展:「昆虫感覚館・そわか編」ギャラリーそわか・京都 '98年。
個展:「複眼を体験しよう」東京大学教育学部佐々木正人研究室(東京)'98年。「複眼体験―虫になりに来ませんか?―」ASK?(京橋)'05年。
受賞歴:「複眼体験」'07第11回文化庁メディア芸術祭アート部門審査委員会推薦作品。
ICAF(インター・カレッジ・アニメーション・フェスティバル)実行委員、日本アニメーション学会会員、日本映像学会会員、日本アニメーション協会会員。「カメレオンプロジェクト」メンバー。
独立行政法人科学技術振興機構JST「デジタルメディア作品の制作を支援する基盤技術」領域アドバイザー(2002年-現在)。

JINNOUCHI, Toshihiro

Professor


Research topics include "looking" and "showing." Grounded in a historical perspective and scientific understanding, I study the nature of future visual communication including films, exhibitions, databases, search systems, and network building. Currently, I work to build relationships with people by producing animation, documentaries, and other films; planning exhibitions that are places for sharing wisdom; and planning and administering festivals.
Solo exhibitions: The Compound Eye Experience at ASK? gallery in Kyobashi (2011 and 2012).
Awards: Jury Selection in the Art Division at the 11th Japan Media Arts Festival(2007) for The Compound Eyes Experience.
Memberships include the executive committee of the ICAF (Inter College Animation Festival), the Japan Society for Animation Studies, the Japan Society of Image Arts and Sciences, the Japan Animation Association, and the Chameleon Project.
複眼体験 ―国立新美術館にて

複眼体験 ―国立新美術館にて

撮影:陣内利博

複眼人間

複眼人間

撮影:青島一成

複眼体験

「複眼」をかぶると、
いつもとは全く異なる目を持つことになる。

見えるのは複数の小さなスクリーンに現れる光だけ。
しかしよく視るとそれぞれの小さなスクリーンの中に、
自分を取り囲む光景が逆さまに映し出されている。
そして動いてみると、
自分の身体が覚えている動きと
「複眼」をとおして見える動きの違いに気づく。
このことを理解すると、
あなたは新しい目を持って
世界を再体験する事になる。

複眼体験 ― 虫になりに来ませんか? ―会場にて

複眼体験 ― 虫になりに来ませんか?
―会場にて

撮影:橋本優子



複眼体験の略歴

●グループ展
1998年5月19日~5月31日 ギャラリーそわか(京都)
「昆虫感覚館・そわか編」
北直以・陣内利博・角孝政・細馬宏通/企画:オフィスバッテラ 中西美穂/制作・展示協力:福間祥乃・上田和秀/取材撮影:青島一成

●複眼体験ワークショップ
1998年7月16日 東京大学教育学部佐々木正人研究室
「複眼を体験しよう」
参加者:勝井三雄・寺山祐策・野口靖・落合佐和子・尾崎行欧・山口聡子・早出あずさ・山田高史/堀口裕美ほか、東京大学教育学部佐々木研究室学生多数/制作・記録:福間祥乃・上田和秀/映像編集:夏川憲介
2000年11月19日 狭山公園「森のアトリエ」里山イベント
参加者:宇佐見良江・薮内新太・石橋裕次郎・有島奈緒・堀江優子・鈴木康之・垣内雪絵
2000年12月7日 SFC慶応義塾湘南藤沢キャンパス
後藤武・三嶋博之(講座)

●こどもと大人のワークショップ
科学技術館:科学ライブショー「ユニバース」
2001年7月21日「複眼体験」山田高史
2003年1月25日「複眼体験」松本亜希子
2004年3月6日「星を見る目、いろんな目」馬渡なほこ、杉原千賀子
東京フォーラム:「マナビゲート」
2008年8月23・24日「複眼ドーム」五十嵐賢紘、藤澤彩里

●個展
2005年7月19日-23日 ASK? ギャラリースペースキムラ(京橋)
複眼体験―虫になりに来ませんか?―

●第11回文化庁メディア芸術祭
アート部門審査委員会推薦作品 国立新美術館 2008年2月10日・11日



表現を引き出す

私の修士論文の表題である。ここでは板橋区立美術館での3年間にわたる「子ども造形アトリエ」での活動記録を軸に、美術館における教育普及のためのワークショップのあり方を提案しました。
モノをつくる時、人はモチーフを自分の「みかた」で観察し、それにふさわしい「やりかた」で表現する。人にはそれぞれ個別の「みかた」があり、おのおの別な「やりかた」がある。私は「誰にでも表現ができる」というあたり前のことを体験できる場や仕掛けの重要性を、今でも考えている。
ワークショップの目的は評価し選び出すことではない。ともにプロセスを共有することで、つくり手自らが自分の判断基準を持てるようになることを理想としている。
私は授業でもワークショップの手法を用いる。ワークショップは1人ではなく何人かの人が同時に参加して行うのが原則だ。同じモチーフを大勢の人が違う視点から見る。するとそこからそれぞれこだわりのあるテーマが引き出される。同じモチーフであるのに、それぞれテーマは異なるのだ。自分とは違う「みかた」をする他者を鏡に、自分の「みかた」や「やりかた」をも探ることになる。授業でのモチーフは単なるモノではない。1年次のモチーフは「線」、「色」、「空間」、2年次は「食べる」、「はかる」、「動かす」、3年次は「小平」や「玉川上水」など具体的な地域や社会にまで広がりを持つ。
たとえば、2年次の「動きを意識化」し「動きの記述」を考察する授業で、学生達は「歩くこと」をモチーフにする。まずそれぞれが創造した人物キャラクターをパラパラマンガで動かす。よりスムーズな歩きをお互いに検討する。おのおのがビデオに撮って観察したり、地面との接点の距離を測ったり、一歩の動きに必要なコマ数を検討し、タイミングを工夫する。こうして出来上がったスムーズな歩く行為のアニメーションから、頭・胴・両手両足などの17個の関節を「光点」に置き換える。さらに全員の作品を同時に動かしてみる。はじめは星空のようなバラバラに見える点が、動き出すと性別や年齢や表情を持った「歩く点」の群れになる。こうして皆で発見し、確認してきた事象を他者に伝えるために展示というカタチにする。1人ではできない作業を通して「自分たちで考え、やってみる」という自発的な共同の創造活動が生まれている。
私は誰もが自分でテーマを見つけ出し、どう表現するかを選び、それを実現するための方法を組み立てる力を持つことが重要だと考える。ワークショップはそのための仕掛けになる。

立体ゾートロープ

立体ゾートロープ

2年後期、西本先生と共同で開設する授業。視覚表現演習「動きを記述する」立体ゾートロープ制作・撮影風景。撮影:中野正貴

歩く点

歩く点

「点」という最も単純なカタチの動きから、幾人かの「歩く」という動作に加えて個人や性別、年齢といった細かい情報が知覚できる。
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